加古川　鍼灸治療院きさらぎ | 日記 | オーダーメイドの治療！？

エステサロンなどの広告宣伝でよく目にする「オーダーメイドの施術」という謳い文句。
これに倣って整骨院などの治療院でも「オーダーメイドの治療」を惹句にしているところが増えています。

美容鍼灸やダイエットなど、慰安系の施設の場合はそれで結構なのですが、こと治療となるとこの「オーダーメイドの治療」という言葉はなかなか聞き捨てにできない言葉です。

何故なら、患者さんのオーダー（要望、注文）に応えることが必ずしも患者さんの身体にとって良いとは限らないからです。いえ、むしろ逆効果になることが非常に多いのです。

たとえば「左の腰が痛い」と患者さんが訴えていても、診察してみると反対側の右腰の方が悪い場合も多いし、そもそも腰とは一見関わりのない部位に問題があることも珍しくありません。
またマッサージ慣れしている人や慢性疾患の場合、感覚が鈍磨している場合が多いものです。

そもそも症状とは、その時点その時点での自然治癒力の発現そのものであり、症状によってアンバランスながらもバランスをとっていると言えます。つまり、お体の必要性に応じて症状があるのであり、症状には意味があるのです。しかし、多くの患者さんにとって症状とは憎むべきものであり、『症状さえ取れれば良い』と考えてしまう患者さんがほとんどです。

このような患者さんたちのオーダーのまま施術することがいかに危険なことかは想像に難くないでしょう。

『もっと強く』・・・・・（鈍った感覚でも満足出来るような強刺激で）
『ここ(症状の出ている局所）に鍼を打って』・・・・・（必要のない治療、無駄ないし害のある治療）
『こういう治療をして』・・・・・・・（お体の要求に合った治療ではなく、患者さんの好みの治療）

そういった要望に応えた治療をしても症状を消すことは出来ます。
感覚をさらに鈍らせることによって。

間違った治療でも症状自体を感じさせなくすることは出来るのです。
それが本当にお身体にとって良いことだと思いますか？

対症療法はあくまで対症療法であり、それが必要な緊急時を除いて出来る限り避けるべきものなのです。
対症療法を続けることで体は益々鈍磨し、その間にお体の状態はより悪くなっていくのですから。

当院ではそのような、お体にとって良くないことと知りながら、患者さんの要望に従ってモルヒネを出す、そんな類の治療は致しません。あなたの健康を全力でサポートするために。